うつ病の療法にあたって 精神療法についてみてきています。
今日は行動療法です。
行動療法とは、具体的な行動パターンの変化を通じてうつ病の症状を改善を目指す心理療法。
日常的な活動や習慣の変更、リラクゼーション技術の止揚、ストレス管理のスキルの向上などが含まれます。
ということです。
行動療法は特定の行動や反応パターンに焦点を当てるアプローチです。主に心理的問題や精神障害の治療や管理に使用されます。行動療法の目標は、不適切な行動や反応を変え、健康的な行動や反応を促進することです。
- 患者さんの症状を『行動』(下図のように「目に見える行動」だけではなく、頭の中で生じた「思考」や「感情」も『行動』に含みます)として捉え、どのような状況で『行動』が生じて何がどのように変化したのかということを分析します。
- どのように『行動』を変化させれば、困っている症状を減らすことが出来るのか患者さんと一緒に考えます。
- 実際に患者さんは『行動』を変化させる練習を行います。加えてその前後で何がどのように変化したかを患者さんにモニタリングしてもらいます。
- 『行動』の変化は正しく繰り返すことが必要です。症状に向き合うため不安や不快を感じることが多いでしょうが、根気強く取り組み続けることで、現在よりも楽な生活に変えていくことができます。
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問題の評価: 初めに、クライアントの問題や症状を評価し、その問題の背景や原因を理解します。この段階では、クライアントと治療者が共同で目標を設定し、治療計画を立てます。
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目標の設定: クライアントと治療者は、治療の目標を具体的に設定します。これには、望ましい行動や反応の変化や、問題行動の減少などが含まれます。目標は達成可能で実現可能なものでなければなりません。
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技術の選択: 目標を達成するために、適切な行動療法の技術や戦略が選択されます。これには、認知行動療法、ストレス管理技法、システム的脱感作など、さまざまな技法が含まれます。
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実践とトレーニング: クライアントは、治療者の指導のもとで、選択された技術や戦略を実践し、練習します。例えば、恐怖症の場合、恐れている対象に対して徐々に曝露されるトレーニングを受けることがあります。
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評価と調整: 治療の進行を定期的に評価し、目標の達成度や治療効果を確認します。必要に応じて治療計画を調整し、新しい目標を設定します。
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維持と予防: 目標の達成後も、クライアントは適切な行動や認知パターンを維持するための戦略を学び、定期的なフォローアップを受けることが重要です。また、将来の問題の予防にも焦点を当てることがあります。
行動療法は、クライアントと治療者の協力に基づいて進行し、問題の特性やクライアントのニーズに応じて個別にカスタマイズされます。臨床的には、これらのステップは柔軟に適用され、適切な介入が提供されるように調整されます。
というように 患者と専門家とがよく話し合う必要がありますね。 信頼関係が大切であるともいえます。
治療の期間と頻度ですが、 長期間にわたるものと考えましょう 1回が50分程度で頻度は週1から数回程度です。
保険の範囲内から自己負担まで様々です。
都市部は比較的料金が高めになります。
行動活性化療法とは?
心理療法にもいろいろなアプローチがありますが、現実的な日常へのアプローチとして認知行動療法があります。具体的な日常をテーマに扱うので、患者さんにもわかりやすくて効果を感じやすい方法です。
認知行動療法というと、一般的には認知療法よりに行われていることが多いです。本来は、認知療法と行動療法をひっくるめた治療法をさしています。
認知療法では、「脳による情報処理」に焦点を当てます。何かの出来事があると、その人の固定観念や信念によって情報処理されて、その結果として行動や感情が起こります。それでは情報処理=認知を変えていけばよいのだろうというわけです。このように認知を変えていくアプローチを、認知再構成法といいます。
それに対して行動療法では、「行動パターン」に焦点を当てます。何らかの状況になると、習慣化されている行動パターンをとります。その行動パターンを望ましいものに変えていくことで、物事のとらえ方を変えていきます。望ましい行動を増やし、望ましくない行動を減らしていく方法が行動活性化療法です。
このように行動活性化療法では、「行動」することから始まります。行動してみて、その結果をみていかないと始まらないという特徴があります。
ポイントとしては
- 望ましい行動を増やす
- 望ましくない行動を減らす
- 自分の今の思いには動かされないこと
- 過去のことを繰り返し考えないこと
行動活性化療法の進め方
それでは行動活性化療法はどのようにすすめていけばよいのでしょうか?ここでは、外来での行動活性化療法をイメージしてお伝えしていきたいと思います。
まずは日々の活動を振り返ることから始めます。自分がどれくらい活動をしているかを見ていきます。今の自分にとって良い行動と悪い行動を把握します。
うつ病の患者さんでは、回避行動をとりがちです。望ましくない行動を変えていかなければいけません。勇気を出して本来あるべき行動を計画しなければいけません。
実際に行動をしてみて、その結果を振り返ります。それがよい結果ならば、ますますその行動が増えていきます。このようにして行動を活性化させていきます。
ある程度回復してくると、「日常生活の行動」から「社会生活での行動」に焦点がうつります。行動をしながら、自分の価値観を明確化していく必要があります。
それでは、具体的に行動活性化療法の流れをみていきましょう。
まずは活動記録表をつけてみる
まずは自分がいまどれくらい活動をしているのかを把握しましょう。活動記録表をつけていきます。
上のエクセルを使って、活動の記録をとってみましょう。横向きで印刷をすると、ちょうどA4サイズになるように調整しています。
- あなたは何をしていましたか?
- あなたは誰といましたか?
- あなたはどのように感じましたか?(怒り・悲しみ・不安・喜びなど)
日記にしてつけてみましょう。感情の強度を10点満点でつけていきましょう。
「もう少しやる気が出てくれば・・・」といっている方も、思ったよりも活動できていることもあります。治療者と振り返りながら、望ましい行動と望ましくない行動に分けましょう。
望ましい行動があれば、できるだけそれを行うようにしましょう。望ましくない行動があれば、少しずつ変えていかなければいけません。
勇気を出して行動を計画する
自分自身の行動が分かってきたら、それをもとに「行動」を計画していきます。うつ病の患者さんは、どうしてもネガティブに考えてしまって回避行動をとりがちです。以前は普通にしていた「行動」が、今はとれなくなっています。
そのような望ましくない行動を減らしていかなければいけません。このために、行動を計画していきます。「晴れた日は外出をする」といったように課題をつくって、嫌な気持ちがでてきてもとりあえず行動してみます。
その時の感情を活動記録表に記入していきましょう。
行動の結果を振り返る
本来あるべき行動をとってみて、その結果を振り返っていきます。「思ったよりも外出したら楽しかった、怖くなかった」などと思えたら、行動活性化が進んでいきます。
良いと思えた行動は、ますます積極的に行っていくようにしましょう。いままでの生活に近づいていくことで、自信がついていきます。
このようにして、「行動」という外側から、「認知」という内側に働きかけるようにして、行動活性化療法は治療をすすめていきます。
自分の価値観を明確化していく
うつ病の症状がひどいときは、日常生活の行動が目標になります。ある程度よくなってくると、「日常生活での行動」から「社会生活での行動」に焦点がうつっていきます。
社会復帰をはたし、本当の意味でうつ病の再発を防いでいくには、このプロセスが非常に重要です。等身大の自分を理解して、価値観を明確にしていかなければいけません。そのためには、「行動」がかかせません。
頭で考えていても、実際に行動してみたら違うということはよくあります。
例えば、「自分はボランティアをやりがいにしたい」と考えたとします。そのように考えたら、実際にボランティアをやってみましょう。「思ったより感動しない、楽しくない、やりがいがない」と感じたら、それは自分の価値観ではありません。
このようにして、社会にも認められて自分にもしっくりくる価値観を見つけます。それが見つかれば、日々の生活の中に行動を取り入れていくのです。
うつ病で休職した方だと、これまでの価値観が大きく崩れてしまうことがあります。「会社の中で出世して、ゆくゆくはこんな生活がしたい」と思っていたものが崩れてしまったりします。
現実を等身大にとらえつつも、新しい価値観をみつけていく必要があります。
行動活性療法の効果とは?
行動活性化療法の特徴は、「行動」に目を向けるので、具体的でわかりやすい点です。このため、認知療法と比べると時間がかかりにくいです。回避行動が目立つ方は、行動活性療法のアプローチを取り入れてみたほうがよいでしょう。
しかしながら、「この人は行動活性療法が有効そうだ」と思っても、なかなかよくならないこともあります。そのようなときに認知からのアプローチを意識すると、急によくなることもあります。「行動」からではなく「認知」からの方が効果的な方もいます。柔軟に行っていく必要がありますし、同時にアプローチしていくことも多いです。
行動活性療法の効果が報告された論文があるのでご紹介します。2006年に発表されたランダム化比較試験では、中等度~重症うつ病の方では、薬物療法と行動活性化療法は同等に効果があったと報告されています。認知療法はやや劣るという結果になりました。
もちろん症状の程度が重たい人には慎重に行うことが必要ですが、少しずつ状態が回復してエネルギーがでてきたら、行動活性化療法を意識していくのも、ひとつの治療方法となります。
まとめ
行動活性化療法とは、思い切って「行動」をしてみることで、その結果からあるべき行動パターンや認知を促していく方法です。
ポジティブシンキングとは異なります。思い切って行動してみることが大切で、過去のことを繰り返し考えることは避ける必要があります。
行動活性化療法には4つのステップがあります。
- 活動記録表をつける
- 勇気を出して行動を計画する
- 行動の結果を振り返る
- 自分の価値観を明確化していく
うつと精神疾患の専門家
仲村友一
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